交通事故で人身扱いにしない場合はどうなるのか
1 実況見分調書が作られなくなる
人身事故扱いにせずに、物件事故扱いのままである場合には、事故状況などを記載した実況見分調書が作成されません。
この実況見分調書は警察官が作成するもので、裁判においても、比較的信用性の高い証拠として扱われます。
事故状況に争いが生じた場合には、実況見分調書が重要な証拠として扱われることも多いため、人身事故扱いにしない場合には、ご自身に有利な事情を主張するための証拠が乏しい状況になることもあります。
そのため、人身事故扱いに切り替えて、ご自身に有利な事情を実況見分時に警察に伝えて、実況見分調書に記載してもらうことが大切です。
2 軽症と認定される可能性がある
人身事故扱いに比べて物件事故扱いの場合には、軽症であると認定される可能性があります。
そのため、物件事故扱いの場合には、人身事故扱いと比べて、後遺障害が認定されにくくなることがあります。
人身事故扱いに切り替えないことにより後遺障害が認定されにくくなる程度は、事故の大きさや負傷の内容、症状の経過などによって異なります。
たとえば、事故により骨折してしまい、骨が癒合しなかったような場合には、後遺障害の内容が画像上明らかであるため、人身事故扱いに切り替えなかったとしても後遺障害が認定されにくくなる程度は少ないですが、一方で、むちうち症などの画像所見が乏しい場合には、結果に影響を与えてしまうこともあります。
3 刑事事件としては人が怪我をしていない事故として扱われる
物件事故扱いの場合には、刑事事件としては、人が怪我をしていない事故として扱われるため、刑事責任としても軽くなる傾向があります。