ネット誹謗中傷を弁護士に相談する前に準備すべきこと

文責：所長弁護士山森一男
最終更新日：2025年1月7日

「インターネットで誹謗中傷を受け、その投稿を削除するとともに発信者情報開示請求で相手を特定して損害賠償請求をしたい」という場合、弁護士に相談する前にいくつかの準備をしておきましょう。

ここでは、ネットの誹謗中傷について、削除請求や発信者情報開示請求の法律相談を充実させるために大切な準備のポイントを説明します。

１　投稿の特定

まず、「どの投稿を削除したいのか」「どの投稿をした人の住所・氏名を探し出して損害賠償請求したいのか」を考えます。

ネットの誹謗中傷に関して弁護士が検討するスタート地点は、投稿そのものです。

投稿を特定しその内容を確認できなければ、弁護士であっても対応ができません。

「そもそも法的請求ができるような違法性がその投稿にあるのか」ということも問題となります。

投稿の特定で何よりも重要なのは「URL」です。

相談したい投稿のURLをできる限り事前に確認して弁護士にお伝えください。

しかし、スマホアプリからの投稿にはURLが確認しづらいものもあります。

URLが確認できないときは、スクリーンショットを撮っておくほか、検索など回り道をしてでも投稿を特定しましょう。

誹謗中傷におけるURLの確認についてはこちらでも解説しておりますので、ご覧ください。

URLはインターネットサイトの住所であり、投稿の特定に不可欠です。

削除請求や発信者情報開示請求では、任意請求の書式でも裁判所に提出する書類でも、URLの記載が求められます。

請求は原則として個別の投稿ごとに行われますので、URLで投稿を特定しなければ投稿の削除や投稿者の情報開示ができないのは、サイト管理者や通信会社などプロバイダ、そして裁判所も同じなのです。

また、サイト管理者の調査でもURLは重要な手掛かりとなります。

サイト管理者は、削除請求では原則的な請求相手となり、発信者情報開示請求でもプロバイダ等を特定するために必要な情報を求めることになります。

弁護士自身が投稿内容を確認するにも、URLは必要です。

誹謗中傷を受けたと感じていると、どうしても口頭だけの説明では投稿の内容を正確に伝えられなくなってしまうことがあるでしょう。

弁護士が正確な判断をするためには、弁護士がその目で投稿そのものを見る必要があります。

【URLが分からないとき】

URLが分からないときは、投稿をスクリーンショットで画像にする、投稿内容を詳細に伝えて検索で特定できるようにするといった代替手段が考えられます。

検索はGoogle検索などだけでなく、個別のアプリ・サイトが持っている検索機能を活用することもできます。

例えば法律事務所との予約電話の中で、サイト名を伝え、ご自身の名前や誹謗中傷と言える言葉など他の投稿と区別できる具体的なキーワードを説明しつつ、投稿そのものを特定する方法があります。