障害年金と生活保護の違い
1 障害年金と生活保護の違い
「障害年金」と「生活保護」は大きく言えば、どちらも困窮している方々を支援するための社会保障制度ですが、その目的や支給要件、性質には大きな違いがあります。
以下では、両制度の違いについて解説します。
2 障害年金の特徴
⑴ 障害年金制度の目的
障害年金は、病気やけがで障害を負った方に対して支給される年金です。
障害年金制度の目的は、障害を持つ方が働くことが難しくなった場合に、一定の収入を確保することにあります。
⑵ 障害年金を受給するための要件
①公的年金の加入要件
障害年金は、年金保険の仕組みを基盤としているため、原則として、初診日において、公的年金に加入していなければ受給することはできません。
②年金保険料の納付要件
障害年金を受給するためには、初診日の前日時点において、初診日のある月の前々月までの保険料納付状況を確認し、➊公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付されているか免除されているか、➋初診日のある月の前々月までの直近1年間において保険料の未納がないことが必要です。
ただし、20歳より前に初診日がある場合は、納付要件を充たす必要はありません。
③障害の状態の要件
障害年金を受給するためには、障害の状態が国の定める認定基準(障害等級)に該当することが求められます。
所得や資産についての条件はありません。
3 生活保護の特徴
⑴ 生活保護制度の目的
生活保護は、生活に困窮するすべての人々に対し最低限の生活を保障するために設けられた制度です。
生活保護制度は「最後のセーフティネット」と呼ばれることもあり、障害の有無にかかわらず利用可能です。
⑵ 生活保護を受給するための要件
①最低生活費
生活保護を受給するためには、世帯の収入が最低生活費を下回っていることが必要です。
②資産の活用
受給者自身の資産(預貯金、不動産、車など)や収入を活用してもなお生活が困難であることが必要です。
③扶養義務者の支援
親族など扶養義務者からの支援を受けることができない、または支援だけでは生活が成り立たないことが必要です。
④稼働能力の活用
世帯の中に働くことのできる人がいる場合は、能力に応じて働く必要があります。
⑤他の法律等の優先活用
年金や手当、医療費の助成など、他の法律や制度から受けられるものがあれば、それらを生活保護より優先して受給することが必要です。
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